暗号資産に関するトラブルを防ぐには?


今や多くのメディアで取り上げられるようになった暗号資産について、様々なトラブルが起こっています。
金融庁や一般社団法人日本暗号資産取引業協会(JVCEA)をはじめ、行政機関や団体から暗号資産に関するトラブルの注意喚起が公表されています。

【消費者庁、金融庁、警察庁からの注意喚起】
「暗号資産に関するトラブルにご注意ください!」
「暗号資産に関するトラブルにご注意ください!②」
「銀行口座(キャッシュカード・通帳)を他の人にあげたり売ったりすることは犯罪です。絶対にしないでください。」
「警察庁・SOS47 特殊詐欺対策ページ」


まずは、どのような事例があるのかを知ることが、暗号資産に関するトラブルを未然に防ぐための第一歩となります。
この記事では、暗号資産に関するトラブルの事例や取り得る対策をご紹介しますので、暗号資産に係る送金や取引などを行う際にご活用ください。

暗号資産に関するトラブルは、主に以下の4つに分類することができます。

  • 詐欺
  • 誤送金
  • ハッキング
  • 違法賭博

【詐欺】

1.フィッシング詐欺

フィッシング詐欺とは、実在する企業やサービスになりすましてメールを送りつけたり、偽のウェブサイトに接続させたりするなどの方法で、個人情報を盗み出す行為を指します。

参考ウェブサイト:「総務省 フィッシング詐欺に注意」

事例(1)
実在する暗号資産プロジェクトや登録暗号資産交換業者になりすまして、SNS上でキャンペーンに当選した旨のダイレクトメールを送りつけ、偽のウェブサイトに誘導し、メールアドレス・ログインパスワード・暗号資産ウォレットに関する情報などを入力させようとすることがあります。

事例(2)
実在する個人または企業になりすまして、送金先が変更となった旨のメールを送りつけ、偽のウォレットアドレスに送金させようとすることがあります。

対策
・URLを開く前に、送信者のメールアドレスやアカウント名が公式のものと一致しているかを確認する。
・URLを開く前に、URLに不自然な点がないか、URLが公式のウェブサイトと一致しているかを確認する。※OKJのドメイン:okj.com
・URLを開く前に、認定協会会員一覧(⼀般社団法⼈⽇本暗号資産取引業協会(JVCEA)会員⼀覧)に掲載されているURLと一致しているかを確認する。
・身に覚えのないメールや初めて利用するウェブサイトに記載されたURLへのアクセスを控える。
・送金先の変更といった重要な事項については、相手に電話で確認する、または相手のサインがある書面で確認する。


2.著名人を装った詐欺

事例
YouTubeやSNS上で、乗っ取ったアカウントを使用して著名人になりすまして投資案件を持ちかけ、金銭を騙し取ろうとすることがあります。

■対策
・当該著名人から投資案件を持ちかけられたというケースが多発していないかを調べる。
・当該著名人に別の手段でコンタクトを図る。


3.架空貿易・電子商取引サイト詐欺

■事例
ウェブサイトやSNS上で保有しているNFTを見たなどとして接触し、通常の取引を装い、あなたのNFTを購入するという話を持ちかけてきます。
第三者に購入の意思があり、その代理人を装って接触を図り、期限内に先にNFTを送付すれば高額で購入するとして、取引をせかしてくる事例もあります。

■対策
・NFTプラットフォーム以外での取引を控える。
・代金を受け取る前にNFTを送付しないようにする。
・指定されたウォレットアドレスをブロックチェーンエクスプローラーで確認し、高額のNFTが大量に送信されていないかを確認する。


4.ロマンス詐欺

■事例
出会い系サイト、マッチングアプリ、SNSなどを通じて知り合った異性が、多額の金銭を要求してくることがあります。最初は少額の金銭要求を持ちかけ、次第に高額の金銭を要求するという事例もあります。
緊急性を煽る、孤独や寂しさの弱みに付け込む、慕う振りをして懐に付け込む、同情を買うケースなど手口は様々です。

■対策
・ネット検索や第三者への相談を通じて同様の事例が起きていないかを調べる。
・安易に送金を行わず事実確認を行う。


5.暗号資産運用を謳う詐欺

■事例
実績のある投資家やファンドであることを装って、保有している暗号資産を預ければ確実に資金を数倍にして返すと持ちかけ、持ち逃げするということがあります。
デモ画面の実績やサクラを使用して、さも実績があるかのように見せかけます。
システムトレード(EAツール、AI自動売買)を用いたもの、アービトラージプラットフォームやオンラインカジノプラットフォームの提供を謳ったもの、MLM(マルチレベルマーケティング)形式での販売など手口は様々です。

■対策
・投資勧誘において、確実に利益が出る、絶対に上がるといった断定的判断の提供は金融商品取引法で禁じられていることを念頭に置く。
・投資勧誘において、元本保証、損失補填を約束する行為は金融商品取引法で禁じられていることを念頭に置く。
・金融庁(財務局)の登録・届出を受けた業者であるかを確認する。


6.暗号資産運用を謳う詐欺

暗号資産の上場に伴う資金調達手段としては、企業やプロジェクト等がトークンを活用した資金調達を行う仕組みであるICO(Initial Coin Offering)が一般的です。
近年は、暗号資産取引所が主体となってプロジェクト審査およびトークンの販売を行う仕組みであるIEO(Initial Exchange Offering)、分散型取引所(DEX)を介して資金調達を行う仕組みであるIDO(Initial DEX Offering)など新たな資金調達手段も登場しています。

■事例
暗号資産プロジェクトであることを装って、ウェブサイト、ホワイトペーパーを準備し、海外取引所への上場が決定していることを謳ってトークンを事前に安く購入できると持ちかけ、持ち逃げするということがあります。

■対策
・金融庁(財務局)の登録・届出を受けた業者であるかを確認する。
・ホワイトペーパーの内容を理解し不自然な点がないかを確認する、企業やプロジェクトの情報を収集し信頼に値する内容であるかを確認する。


7.情報商材系の詐欺

情報商材とは、主にインターネットの通信販売で、投資・副業・ギャンブル等で高額収入を得るために販売されている情報(ノウハウ・マニュアル等)のことです。

■事例
インターネット経由で、1万円の投資ですぐに1億円になる投資方法が手に入ると記載された情報商材を申し込んだが、実際には具体的なノウハウは記載されていないといったものがあります。
動画、メールマガジン、電子媒体、アプリケーション、冊子、DVD等の様々な形式があります。 情報商材から派生して、セミナー、コンサルティング、システムツールといったさらに高額な契約を勧誘するためのツールとなっている商材もあります。

■対策
・ネット検索や第三者への相談を通じて当該情報商材の評判を調べる。
・違和感をもった場合や当初の説明と異なる点があった場合は契約をしない。
・迷惑な勧誘を受けた場合は、消費者庁などに相談を行う。

【誤送金】

暗号資産を送付する際に、必要な情報を正しく入力しなかった場合、資産を失ってしまう可能性があります。

事例(1)
暗号資産IOSTを送付する際に出庫先(送付先)アドレスを一文字誤って入力してしまった。

事例(2)
暗号資産XRPを送付する際に宛先タグを指定し忘れてしまった。

■対策
・どんなに緊急の送付の場合でも送付前に入力内容を再確認する。
・暗号資産によっては「タグ」、「メモ」等の指定が必須であることを念頭に置く。
※OKJの入庫方法については以下のページをご参照ください。
暗号資産の入庫方法

【ハッキング】

ハッキングされ暗号資産が流出してしまうケースは、主に以下の2つに分類することができます。

  • 個人で管理しているウォレットからの流出
  • 資産を預けている暗号資産取引所からの流出

■事例
SNS上で暗号資産のサポートを行うと装って、偽のウォレットアプリやウェブサイトに誘導し、ウォレットを復元する際に使用する英単語を組み合わせたシードフレーズを入力させようとすることがあります。
こちらは最初にご紹介した「フィッシング詐欺」と同様の手口です。
その他、ハッカーが偽のWi-Fiを利用して端末から個人情報を盗み取るケースもあります。

■対策
・シードフレーズを紙で保管し、安易にシードフレーズを入力しない。
・フリーWi-Fiへの接続を控える。
・セキュリティソフトを導入する。
・セキュリティの高い取引所に預ける(インターネット等の外部のネットワークに接続されていないコールドウォレットで管理、マルチシグの採用、二段階認証の要求が必須など)。
※OKJがお預かりした暗号資産は、マルチシグを用いて、100%コールドウォレットで管理されます。また、OKJのアカウントに対するすべてのアクセスには2段階認証を要求します。https://www.okj.com/

【違法賭博】

2020年以降、新型コロナウイルス感染拡大による巣ごもり需要や、決済手段の多様化により、ギャンブルのオンライン化が広まっています。しかし、海外で合法に運営されているオンラインカジノであっても、日本国内から接続して賭博を行うことは犯罪です。(刑法185条、186条)

OKJでも、利用規約にて「賭博行為、賭博場を開帳し、又は博徒を結合して利益を図る行為、もしくはこれらの行為者との間で、当社取引口座を経由して金銭又は暗号資産を移転する行為」を禁止しています。

https://www.okcoin.jp/pages/rules/use-rule.html

オンラインカジノを利用した賭博については、警察庁・消費者庁が注意喚起を行っています。以下のリンク先も合わせてご確認ください。

[警察庁]
オンラインカジノを利用した賭博は犯罪です!
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/hoan/onlinecasino/onlinecasino.html

[消費者庁]
日本国内ではオンラインカジノに接続して賭博を行うことは犯罪です!
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/caution/caution_030

■事例
オンラインカジノを利用した賭客が賭博罪で検挙された事例があります。 他にも、オンラインカジノに暗号資産で入金すると、カジノで使えるボーナスがもらえると広告で謳い、しばらくしてサイトが閉鎖したり、出金できなくなったりすることがあります。

■対策
バカラ、スロット、スポーツベッティング等、その名称や内容にかかわらず、オンライン上で行われる賭博は犯罪です。絶対に利用しないでください。


詐欺の手口やマルウェアは日を追うごとに進化しています。行政機関や団体が公表している暗号資産に関するトラブルの注意喚起や事例にも目を通すことが大切です。取り得る対策をしっかりと行っていきましょう。


[消費者庁 相談窓口]
悪質な業者、迷惑な勧誘などにお困りのとき
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/caution/caution_005/contact/

被害にあった場合等のご相談
https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/damage/